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1.後発薬市場14年までに3割増、大型薬特許切れで 民間調査
2.精子と卵子は「一期一会」の定説覆す
3.リウマチ、早期治療で効果 新診断基準の導入で
4.東北大発VB発足へ、複数蛋白を定量分析
5.東大、インフルウイルス増殖のカギ握る宿主の蛋白質発見
6.「特集 震災医療 成果と反省」Vol.8次の災害に備えて研究所を立ち上げ
7.「40代以上の風邪、抗菌薬を」
8.重症川崎病へのステロイド初期併用で冠動脈病変リスクが低下
9.剖検の代わりとしての死後画像診断
10.開発中のENB-0040酵素補充療法、重篤な低ホスファターゼ症を改善
11.中等度~重度アルツハイマー病に対するドネペジルvs.メマンチンvs.両者併用vs.治療中止
12.冠動脈疾患患者におけるMRIによる心筋評価と予後
13.ステント留置5年後の冠動脈疾患の進展はどの程度か?
14.テストステロン補充にデュタステリド併用、除脂肪体重の増加量を減らさず
15.抗てんかん薬抵抗性の側頭葉てんかん、早期の側頭手術が発作を抑制
16.肺炎球菌PCV13に高い費用効果
17.混合ワクチンで熱性痙攣増加/デンマーク
18.投薬過誤に対する薬剤師主導IT、投薬過誤減らす
19.シルデナフィル長期投与、眼に影響なし
20.内視鏡的切除、大腸癌死を半減
21.内視鏡と検便、大腸癌発見率同等
22.More Evidence Shows That Daily Aspirin Might Combat Cancer
23.Blood Pressure Variance Between Arms Points to Heart Risk
24.Vitamin E Supplements Don't Affect Heart Failure Risk: Study
25.Stem Cell Therapy Could Boost Kidney Transplant Success: Study
26.Adrenaline Therapy for Cardiac Arrest Linked to Worse Outcomes
27.Electroconvulsive therapy: Aberdeen team says it 'turns down overactive connection'
28.Study Explains How Shock Therapy Might Ease Severe Depression
29.Less Invasive Hernia Procedure Easier on Patients: Study
30.New Type 2 Diabetes Drug Helps Lower Blood Sugar: Study
31.Antioxidants May Not Help Alzheimer's Patients
32.Lightheadedness Upon Standing Could Signal Heart Risk
33.Could Statins Help Prevent Pneumonia?
34. プレスリリース
1) Avian influenza – situation in Egypt – update
2) 大豆イソフラボンが、メラニン生成に関わる酵素「DCT」を抑制し、美白に有効であることを明らかにしました
****************************************1.後発薬市場14年までに3割増、大型薬特許切れで 民間調査
日本経済新聞社2012年3月21日
民間調査会社の富士経済(東京・中央)は新薬の特許が切れた後に発売される割安な後発医薬品の国内市場が2014年に10年比で33.3%増の5865億円に広がるとの試算をまとめた。売り上げ規模の大きい新薬の特許切れが相次ぎ、後発薬への切り替えが加速するためだ。新薬と比べ3割ほど安い後発薬のシェアが高まれば、医療費の増加を抑える効果が期待できる。
調査は富士経済が企業への聞き取りなどをもとにまとめた。医薬品市場全体は14年までに10年比で12.7%増の8兆6009億円に広がる。全体に占める後発薬のシェア(金額ベース)は10年の5.8%から14年には6.8%に高まる。後発薬は有効成分や服用後の血中濃度が新薬と同じと証明できれば、新薬の特許切れ後に発売できる。
特許切れとなった抗認知症剤の「アリセプト」や高脂血症治療剤の「リピトール」などの後発薬が昨年11月に相次いで市場に登場。降圧剤の「ブロプレス」や「ディオバン」の後発薬も近く発売となる見込みで、後発薬市場の拡大に弾みがつくとみられるという。
抗がん剤でも後発薬が浸透しつつある。がん治療では後発薬を使うことに慎重な医師が多かったが、疾病の種類によって医療費を定額にしている病院を中心に使用が増えているという。
同調査によると、特許切れの新薬(長期収載品)の市場規模も14年に10年比で6.2%増の2兆4833億円に広がる。後発薬への切り替えのペースは緩やかになりそうだ。
2.精子と卵子は「一期一会」の定説覆す
阪大・ハワイ大が実験 不妊治療に応用も
日本経済新聞社2012年3月21日
精子が卵子の周囲の膜を通過できるのは1回限りとされていた定説を覆し、少なくとも2回は通過できることを大阪大と米ハワイ大のチームがマウスで明らかにした。岡部勝大阪大教授は「生命の神秘である受精の仕組みの一端を明らかにし、定説を実験的に覆した。研究が進めば、少ない精子での人工授精や不妊治療などに応用できるかもしれない」としている。
卵子を取り囲む透明帯に精子が接触すると、精子の頭の先端にある袋が破れ酵素などが放出される「先体反応」が起き、透明帯を通過して受精する。定説では先体反応が起きた精子は、二度と透明帯を通過できず受精できないとされていた。
チームは、精子が透明帯を通過できるが、卵子と受精できないよう遺伝子操作した雌のマウスを作製。この雌と通常の雄を交尾させ8時間後に卵子を採取すると、多数の精子が透明帯を通過するものの受精できず、卵子の周りにたまっていた。
たまった精子を取り出して正常な卵子にかけ、数時間後に観察すると、再び透明帯を通過し受精していた。この受精卵から正常な子も生まれた。従来考えられていたよりも先体反応の持続時間が長いため透明帯を2回通過できたとみられる。
成果は米科学アカデミー紀要に掲載された。
3.リウマチ、早期治療で効果 新診断基準の導入で
関節破壊をストップ
共同通信社2012年3月21日
関節リウマチの治療が根本的に変わりつつある。日本リウマチ学会が昨年、欧米の新しい診断基準を取り入れ、病気の早い段階から、リウマチ治療の切り札である「生物学的製剤」を使う方向にかじを切ったからだ。昔「10年で寝たきりになる」と言われた病気が、今や「関節破壊もなく、機能障害(日常生活への支障)も進行しない」という時代を迎えている。
▽効果を実感
「ベッドで薬を点滴した後、トイレに行き、戻って来るとき、もう体が軽くなったような気がした。同室の人たちから『もう歩き方が全然違う』って言われて」と振り返るのは北九州市の富久初美さん(68)。病室内で歓声が上がったという。
リウマチを患ってから10年たち、産業医大病院 (同市)で生物学的製剤アバタセプト(製品名オレンシア)を初めて点滴したときのことだ。
一昨年10月の入院時、関節の痛み15カ所、腫れが4カ所もあったが、今はゼロになったという。
昨年3月から同じ薬の点滴を始めた山口県下関市の熊谷史生さん(68)も「もう痛みは全くない。鮮やかな効果にびっくり」。入院時、関節の痛み12カ所、腫れは8カ所あったが、今は右手首の腫れがあるだけ。
「全身が痛かったが、もう半年ぐらい前から痛みも何も感じない。月に2回はゴルフに行っている。幸せ」と喜ぶ。
北九州市の永田武司さん(69)は約1年の点滴で体の痛みもなくなり、今年1月で点滴を中断、経過を見ている。良い状態は継続している。
▽まず専門医
3人は産業医大病院で診断を受け、アバタセプトの点滴で症状が見事に改善した。今は近くの病院で点滴を続けている。
第一内科の田中良哉教授は「一番大事なことは、最初にリウマチ専門医にかかること。速やかに診断がつくので、すぐに効果的な治療が始められる。そうすれば関節破壊はゼロになるはず。まだ最初から専門医に行く患者さんがあまりに少ない」と指摘する。
リウマチの診断が遅れ、治療が後手に回って、関節が破壊されてしまってからでは、生物学的製剤でも元に戻らない。
新しい診断基準では、関節病変と血液検査、罹病期間、急性期反応の4領域を10点満点で評価し、6点以上で関節リウマチと診断する。
「これだと発症して1~2週間でも診断可能。治療目標は、全身の関節の痛みや腫れがほぼ消失し、炎症反応も下がり、患者自身の自覚症状も改善して健康に近くなった『寛解』の状態」
寛解をしっかり維持できれば、関節は壊れず、機能障害も進行しないことが、最近のデータで分かっているという。
▽6種類使い分け
リウマチと診断されたら、まず抗リウマチ薬「メトトレキサート」(MTX)を3カ月使う。十分な量を使えば、これだけでもかなり効果があることが分かってきた。
効果が得られなかった場合、生物学的製剤の出番となる。現在、6種類発売されており、自己免疫疾患であるリウマチの原因となるリンパ球の作用や活動を抑える働きがある。寛解を得やすいだけでなく、寛解の維持に効果がある。
しかし、生物学的製剤でも寛解が得られるのは3~4割、骨の破壊が防げるのは7割程度にとどまる。ただ、働き方が違うので、使う種類を変える選択肢があるという。
田中教授は「関節が痛くて、一つでも腫れていれば、まず大学病院へと言っている。専門医で診断と薬の副作用チェックを行い、最初の寛解導入は責任を持つ。その後は地域の病院や診療所で寛解を維持するという方向になっていくのではないか」と話している。
4.東北大発VB発足へ、複数蛋白を定量分析
化学工業日報社2012年3月20日
東北大学の寺崎哲也教授らの開発した三連四重極型質量分析装置を用いる分析技術を実現した研究成果を生かし、大学発ベンチャーの「プロテオメディックス フロンティアーズ」が今月末、設立される。複数のたん白質を高感度に定量化分析する新技術で、第1弾として効率的に薬剤を運搬するたん白質や代謝するたん白質など定量化できるオンデマンド型試薬キットを同ベンチャー企業が製品化する。たん白質の定量化にかかわる新たなプラットフォーム技術として普及させる考え。
発足したプロテオメディックス フロンティアーズは、資本金1000万円。仙台市青葉区内の東北大学連携ビジネスインキュベーターに本社機能を置く。5年後10億円の売上高を目指す。
三連四重極型質量分析装置は、分解ペプチドを高感度に検出するのが得意な装置だが、たん白質の同定を目的に網羅的解析するプロテオミクス分野で使うには、質量精度が劣る。この欠点を改善するため、寺崎教授のグループは新技術開発に向けたブレークスルーにチャレンジ。新しい定量技術はペプチドを測定対象の基本とする方法となる。定量対象のペプチドをデータベース上のアミノ酸配列情報を用いて、事前に決定。標的たん白質試料を分解酵素で分解し、その分解試料中で標的たん白質に特異的に結合するペプチドの絶対量を同装置で計量。ペプチドの定量は質量によるため、抗体を使用する場合に比べ高い定量性が実現できる。実験では37種類のたん白質を同時定量化できた。
従来のたん白質の定量には抗原のほか、特異的な抗体の調整が必要だが、その作製に手間がかかるうえ、網羅的に解析すると感度が悪く定量性もよくなかった。このため現在の定量解析のコアは遺伝子レベルから調べる方法が行われている。
同社では今後、新薬標的候補たん白質やバイオマーカー候補の定量キットを構築を進めるなど、大学や企業との業務提携も視野にグローバル展開を図る計画だ。
5.東大、インフルウイルス増殖のカギ握る宿主の蛋白質発見
化学工業日報社2012年3月20日
東京大学医科学研究所の河田義裕教授の研究グループは、インフルエンザウイルスの増殖に不可欠なたん白質を見つけ出した。このたん白質は、同ウイルスが感染したヒト細胞にあるF1Fo-ATPaseというたん白質複合体のF1βと呼ばれる部分。F1β量の少ない細胞で実験を行うと、細胞表面から増殖のために放出される同ウイルス粒子の数が減少することを確認できた。成果を踏まえ分子標的薬の研究を進展させることにより、薬剤耐性が起こりにくく、すべてのタイプの同ウイルスに有効な抗ウイルス剤開発の基盤技術の確立につながる可能性がある。
ウイルスは、自らのたん白質だけで自己複製できず、寄生した宿主細胞内のたん白質を利用することが知られている。ヒトの場合、ウイルス感染すると、数時間で子孫となるウイルス粒子を感染した細胞から放出し、増殖することが確認されている。ただこれまでインフルエンザウイルスでは粒子放出の際、どのようなたん白質が利用されているのか、未解明だった。
研究グループは、質量分析法を利用し、ヒト細胞内で同ウイルスのたん白質に結合する数多くのたん白質をこれまでに見つけており、解析を行った結果、この中からF1βが同ウイルス粒子の放出に重要なカギを握るたん白質であることがわかった。ヒト細胞からF1βの産生が抑制された細胞モデルをつくり実験を試みると、細胞の表面から放出されるウイルス粒子の数は電子顕微鏡で観察すると確実に減少していることが確認できた。
F1Fo-ATPaseは、細胞内のミトコンドリアでエネルギーを生み出すアデノシン三リン酸(ATP)の大量合成を行う機能が知られる。今回、同ウイルスの増殖にかかわっていたのは、これとは異なる細胞膜に存在するF1β。脂肪の代謝などに関与し、生体調節のさまざまな研究で注目されている分子だった。新型同ウイルスやB型ウイルスを用いて調べると、このF1βが増えるために重要な役割をしていることがわかり、同ウイルスに共通した機能を担っていることが考えられるとしている。
成果は米国科学アカデミー紀要PNASに掲載された。
6.「特集 震災医療 成果と反省」Vol.8次の災害に備えて研究所を立ち上げ
現場医師10人「私が今、考えること」 石巻赤十字病院 石井 正氏
日経メディカル2012年3月21日
石巻赤十字病院(一般402床)の外来患者数は、震災前と大きく変わらないレベルにまで戻りました。ただ、津波被害を受けた石巻市立病院(一般206床)が休止しているため、病床は常にほぼ満床の状態です。地域で不足している病床を補うため、今年3月に当病院に50床の仮設病棟が開設されます。現在は、石巻市立病院から臨時で看護師の派遣を受けたり、同病院を退職した医師や看護師などに来てもらったりしています。
東日本大震災で津波の被害を免れた当病院は、災害医療の最前線の拠点として機能しました。私は宮城県の災害医療コーディネーターの一人に任命されていたこともあり、当病院の災害対策本部で全国から派遣されてきた医療支援チームをまとめる役回りでした。今回の震災で、こうした経験をした人間は限られています。ですから今は、自身の知見を、今後の災害医療に役立てるのが務めではないかと考えています。
具体的には震災1年を機に、「災害医療ACT研究所」(代表は山形県立中央病院救命救急センター診療部長の森野一真氏、事務局は石巻赤十字病院)を立ち上げ、災害医療の課題を解決するための研究や取り組みを進める予定です。
私がそうであったように、今回の震災では多くの被災地で地元の医師が医療支援を統括する役を担いました。現地の行政や関係機関との人脈、土地勘を持つ地元の人間がまとめ役になるのは理にかなっています。ただ同時に、被災地の拠点には、事務など後方支援を担う人材や、リーダーを補助する"ブレーン(頭脳)"を集めることが重要だとも気づかされました。
震災直後は300カ所以上の避難所への医療提供だけでなく、衛生環境やライフラインの復旧状況のアセスメントなども取りまとめる必要に迫られました。当然、医療支援チームの登録、アセスメントしたデータの入力や管理、会議の議事録作成など膨大な事務作業を毎日こなさなければなりません。こうした作業を担ってくれたのが、日本赤十字社から次々送られてきた後方支援の人材でした。災害対策本部には常時、10~20人が支援に来てくれていたと思います。
また、災害医療のノウハウを持った専門家が週替わりで災害対策本部に参加していました。刻々と変化する状況において、様々な相談に乗ってもらえる専門家の存在は心強いものでした。災害医療ACT研究所では、災害対策本部で後方支援を担う人材や、ブレーンになれる災害医療の専門家を育成し、災害時に送り出して現地のまとめ役を補助できればと考えています。
今回の震災では医療支援活動を行う前提として、食料や通信環境、移動手段を確保することの重要性も痛感しました。石巻赤十字病院では2011年12月、近隣の大型ショッピングモール、イオン石巻店と災害協定を締結。私たちが災害時の医療提供を約束するとともに、イオン石巻店側には駐車場の提供や、ガソリンなどの物資の優先販売などをしてもらえるようにしました。災害医療ACT研究所でも今後、災害時に助け合えるよう、様々な業種の企業と協力したいと考えています。
私自身はようやく外来診療に復帰しました。ただ、依然として災害医療に関係する業務が多く、周術期の管理などを要する手術にはまだ入れていません。外科医としての本格復帰はしばらく先のことになりそうです。(談)
7.「40代以上の風邪、抗菌薬を」
「風邪の原因、本当にウイルスか」続編、超短期から短期の処方を勧める徳田氏
M3 2012年3月20日
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